親との会話

 

仕事を探している。仕事が決まったら一緒に住もうなんて話を彼女としていて、でも彼女がいることを親に言っていなかった。宗教上の問題で結婚は同じ宗教の二世同士でなければいけない。言わなければ言わなければと二ヶ月ほど思っていたところ、さっき初めて言えた。俺が風呂からあがると、洗面所でお母さんが歯を磨いていた。俺はその隣で髪を乾かしていた。教会のイベントに参加してくれと言われた。うーん、そうねえと曖昧に返事していると、何か言いたいことあるの、と言われたので、最近外で遊んでるんだけど…というと、何か察したのか、女の子?と聞いてくれた。そうですと答えた。書くのめんどくせえな

あ、そう、うん、そうね、まあね、と受け止めたあと、

まあ決めた人がいるんならね、と言ってくれた

最後には、あんたのこと好いてくれる人もいるんだねと笑い話にしてくれた。

15分ほど廊下で話していたが涙が出てきたのでまあそういうことでと言って自分の部屋に逃げた。激レアな泣いている自分の顔を見たくて、鏡を見にいってしまったり、そんな行動をしている自分に笑ってしまったりしていた。宗教上の、ずっと親に言いたくても言えなかったことが言えて、受け入れてくれた安心感、によって泣いているというドラマチックな状況を楽しみ、額に入れた自分の姿を眺め少し悦に浸って冷静になって、そしてまた泣いて鏡を見に行った。今はもうただ書き留めておきたいという気持ちくらいしか残ってない。元々は二世同士で結婚してほしかったが、だんだんそうでなくてもいいという気持ちになってきたらしい。本音かどうかはわからない。親に悪いことしたなという気持ちはあるけど、とりあえず絡み合ってごちゃごちゃの問題の一つが、うまくほどけそうなのが嬉しい。