義務感ピエロドライブ

9月からの予定、スケジュールの話し合いのため、本部に行った。塾長(社長)に時給を上げてくれと言った。別の部屋に連れていかれた。常勤講師はこういう仕事をするから云々と関係あるのかないのかわからない話をされた。塾長は、喋りながら考えていたんだろう。こいつが辞めないギリギリのラインはどこか。俺は今辞めることになったら困る。塾長も俺に辞められたら困る。できるだけ、心の中では上の立場を維持する。いつだって辞めてやるって感覚じゃないと、ヘーコラしすぎてしまう。話を聞いている間ずーっと塾長の鼻や目を見ていた。どう言えば決定権を奪えるかを考えていた。今日は、時給を気にしているということを伝えるだけで良しとすることにしよう、と思った。やっぱりビビっている。ここをやめたくないと思っているから弱気になる。ずっと続けるつもりはあるか?と聞かれて、はいと答えた。いいように使われないように、どう立ち回ればいいんだ。時給を上げてくれと言っただけなのに、常勤になりそうだ。そんなに働きたくない。色んな業務をやってみるのもいいかもな。色々頭の中で考えながら塾長の鼻や目を見ていた。塾長の話は半分だけ聞いていた。今はあまり覚えていない。常勤がどんなに大変か話していた気がする。ジジイ。塾長の顔の垂れた頬や鼻毛を見て、ジジイだなって思った。50代後半くらいか。そりゃジジイっぽくなる。60越えててもお父さんは割と若いなと思った。ハゲてなければお父さんはそれなりなのかもしれない。お母さんは年相応に老けてきた。たくさん働きたくないけど、親の年齢を考えたらたくさん働かないといけない。わかってる。常勤講師として電話対応やらビラ作りやら色んな業務をやってみて、飽きたら辞めようか。今は中3がたくさんいる。あいつらが卒業したとき、俺に続けるモチベーションがあるのか。

塾を出てから、イトーと卓球をした。8月中旬から二度目。一度目は6年ぶりだった。イトーと話は合わない。それでも卓球が間にあれば、楽しい。麻雀と同じだ。気が合わなくても、それを介して楽しめる。イトーは体力があるのでひたすらドライブしてもらった。俺はずっとブロックしてた。お互いフォアでひたすらドライブブロックドライブブロック。だんだん続くようになってきた。強いラリーが続くと気持ちがいい。オール面ではこんなことはできない。試合ではなおさら。フォアのみで気持ちいいラリーを続けることだけに絞って楽しむのがいい。俺はブロックしかしていないのに汗だくになった。

イトーを送って自宅に帰ってちょうど夕飯の時間だった。疲れた体に生姜焼き。テレビでは耳の聞こえない子がチアリーディングをやっていた。関ジャニが出ていた。24時間テレビみたいだなと思ったら24時間テレビだった。元気なジャニーズ関ジャニ。あのテンションをずっと求められる仕事は地獄だな。ハットリくんや両津をやる香取みたいに心が死んでしまわないように。俺も、テンションの高い塾講師にはなりたくないと思っていたけど、相手がつまらなそうにしてるのが怖くてテンションを上げてしまうことがある。省エネでいきたい。下手にピエロにならないように。そんなことを続けているうちに、生徒に無関心そうなダメ教師が生まれていくんだろうか。教育の義務感によるイライラモヤモヤ。義務感を捨てたとしても、捨てた自分自身対する失望。諦め。そんな感じで哀愁漂う教師や痛い教師がどんどん生まれていくのかな。塾講師は成績を上げるのがメインでオマケで色々ついてるだけって感じだから、教師よりは病みにくいかもな。成績さえ上げてれば聖職者的対応やピエロになって楽しませたりする義務感はなくなるはず。成績を上げたい。まずは9月中旬の定期テスト