速筋と遅筋

営業が苦手だという認識はあったけど、営業の能力は仕事の基礎的なものであるので、営業ができないということは仕事が全くできないということになってしまう。だから転職活動をしているときに「営業ができない」ということの解像度を上げる必要があって、分解して考えてみた記憶があるが、どんなふうに考えたか忘れた。ただ、瞬発力、加速、速筋的な言葉でイメージできるような、一瞬でパワーを出すような力、が俺には欠けており、そのために営業ができなかったんじゃないかと、昨日娘に見送られながら雪の中ゴミ捨てに行ったとき、思った。俺はなぜオーバーウォッチができないのか、と通じる。俺はFPSは複数作やっていて、むしろ得意なんだとすら思っていたが、オーバーウォッチはすぐに壁にぶつかった。おそらく一瞬で処理しなければいけない情報が多いんだろう。営業も速筋が求められる。通常の商談の通常の会話でも、またはふとしたチャンスに対応するためにも、うまく身のこなしができる人とできない人がいる。いつウルトを使うのか?を頭で考えて準備してもしょうもないタイミングでウルトを打ってしまうように、咄嗟のタイミングで適した動きができなかった。速筋がないやつは営業ができない。モグライダーのような速筋の優れたパフォーマンス、アドリブや非再現性の高いものに惹かれるのは自分にないものへの憧れかもしれない。

逆に、じっくり取り組むような、内省や体系化を必要とするような仕事、長期的な勉強が効果的な仕事、つまり遅筋が効果を発揮するような仕事が俺は得意なんだと思う。時間をかけて勉強した英語を使うもの、エイムやキャラコンを鍛えることが戦績に直結しやすいゲーム、営業であっても分析を元にした提案、無駄な作業を自動化する業務改善。

ただ、速筋が0の人間は立ち上がることもできない。営業力が0の人間は最低限の仕事もできない。衛生兵でありながら突撃兵の分隊に入れられて苦労して、二度と突撃兵には戻りたくないと思いつつ、可能ならもう少しだけ深く突撃兵の作法を覚えたかったと今になって思う。