なぜか無性に

駅前のバスターミナル。どこにいる?とNYからLINE。うろつきながら返事をしようとしているとNYが目の前にいた。おおおお、と俺。NYは少し目が合ったあとまた右下あたりを見て笑っている。ベンチで水族館行きのバスを待つ。会話がとまったあと沈黙にしてみるとまた右下を見て照れ笑いをしている。バスでは本の話をした。夏目漱石のこころが好きだと言っていた。教科書に載ってるやつだと山月記もいいよねと話した。

水族館でNYは、あこれやばいな、とか、はいっ、とか言ってた。(誰が見てもわかる文章を書こうとしてしまっていたけどもう映像もニュアンスも全く伝えなくていいやと今思った。)ラッコのいるところではラッコのうんちくを話した。そこで手を繋いでもみた。イルカショー、トド、ラッコ、ペンギンの流れ。去年9月頃WYちゃんと来たときと同じ流れ。

出口付近、NYはイルカのぬいぐるみのくじを見て、こういうの好き、と言った。あぁ~。いやいい行こう行こうとNY。いいじゃん、やればいいじゃん。NYは1000円のくじを引いた。あれは俺が買ってやればよかったんだ。荷物になるとわかっていても欲しかったんだ。今ブログを書いてて気付いた。

ジェラードを買って、海沿いを散歩した。風が強くてお互い髪がぐちゃぐちゃになった。帰りはバスでなく歩いて駅まで向かった。手の繋ぎ方、腕の組み方を工夫して、これは恥ずかしいとか言いながら人のいない道を歩いた。居酒屋が空く16時半頃までドトールで過ごした。ジブリの話になって、ナウシカの原作ではクシャナとクロトワがいいんだとか、千と千尋はラストで千尋が成長してないのがいいんだとか話した。NYが何を話したかを覚えていない。俺は俺の言いたいことばっかり話しているなと今思った。

居酒屋で飲んで、ホテルへ向かった。セックスはなしの、いつかのための練習。酒を飲みながら、テレビを見た。ベットに座りながら後ろから抱きしめたとき、近い近い近いとか、近いよぉーとか、まじか、とか言っていた。たったまま抱き合ってみたり、明かりをつけたままキスなどした。すべてスムーズにはいかなかった。自分からするほうがいいというので、俺の肩に手を置いてNYのほうからキスをしてくれたとき、ちょっとドキっとした。そのあとの何回かは自然にキスができた。

ムードが大切という言葉の意味がわかった。恥ずかしさをなくしてエロい行為が自然となる空気が持続している時間空間、がムード。ムードを壊すというのは素に戻るということ。NYは、もういいよぉーとか、笑ってしまったりしていた。それを機に俺も素に戻ってしまったりして、なかなかうまくいかなかった。口元、首元、肩を触りながらキスをしていった。何も言わず背中を抱きしめてくれるときが一度あってよかった。この頻度を増やしていきたい。俺もセックスがしたいわけじゃない。普通のいちゃいちゃとか普通のエロいムードというやつに慣れていきたい。

朝、起きて、素面にも関わらず俺は寝ながら抱きついたりキスをしたり、夜よりも積極的に攻めた。NYが素のまま、え、とか、朝だよーとか言っても気にせず体にキスし続けた。なぜか無性に愛しくなってしまっていた。頭を胸に乗っけるとNYの心臓の鼓動が早いのがわかって嬉しくなった。