土曜働いた後の一日だけの休日

9時に起きて市立図書館へ行った。半年以上前に予約していた「穴」という小説を受け取り、少しだけ読んで、鞄に入れた。読めない。本は読めない。本を読んでも、社会で役に立たない。社会でプライドを守りながら生きていくためには実学が必要だ。漫画や映画に詳しいなんて役に立たない。詳しさも突き抜ければ受け取る側のプロになれるけどそこまでもいけない。詳しさを突き抜けた(ように見える)ヤングサンデーのおっくんと作る側のプロの山田玲司の会話を、以前ほど楽しめていないのは突き抜けられなかった嫉妬からか。

実学の、少しでも社会で通用し得る英語、俺の唯一、それが前回のTOEICテストで砕かれてしまった。一時間かけて新潟まで行って、PART3で心がメタメタになってしまったのにリスニングは止まらない。どんどん次へ進む…試験の後はオナニーすることだけを考えていた。

その英語を、勉強するために図書館へ行った。「新TOEICTEST読解特急5ダブルパッセージ編」。5,6分で読んで1分で回答して8分で復習の15分のあと5分休んでまた15分を6回ほど繰り返したあとで、図書館を出た。図書館は高校生9割老人1割だった。そのほとんどが、俺が来た時と同じように机に向かっていた。

あの、高3のときの、図書館で「センター試験 倫理の点数が面白いほどとれる本」を7時間勉強できたときの高揚感。ガンガン頭に入っていく喜び。あれをまたやりたかった。スターウォーズバトルフロントのプレイは虚無だ。それなら勉強の充実感のほう良いと思って図書館に行ったけど、高3のときの倫理ほどはやはり没頭できなかった。

12時頃、本屋に立ち読みに行った。木曜発売のチャンピオン、ヤンジャン、モーニングから、日曜発売のジャンプ、スピリッツ、ヤンマガの順で読んでいく。スピリッツで面白くもない三田紀房の新作の二話を読んでいる最終、話しかけられた。A木先生だった。家族も一緒だった。奥さんは美人で、娘はブスだった。塾の時の、計3年ほど直属の上司だったA木先生。会おう会おうと言われていたがやんわり回避してきた。フレンドリーではあるけど、無理な要求をしてくる人で、俺はかなり恨んでいた。恨んでいたがその恨みの内容と感情をもう忘れてしまった。あれだけのことをしておいてフレンドリーにまた会おうだなんてフザけるなという気持ちで会うことを回避していた。そういうのってもったいないだろうか。頑固になって関係を自ら終わらせるのはもったいないんだろうか。俺の従事していたT校舎がなくなるという話を聞いた。蘇美のいたT校舎。どちらにしろもう行くことはないけど、形があっていけばあることが支えにもなっていた。なくなるときいて、自分がどう思ったとか、掘り下げなかった。ただ立ち読みをやめて本屋をうろついた。今も掘り下げない。

そのあと吉野家でいつものようにネギ玉牛丼を食べた。そんでまた図書館行って15分やって5分休憩を二回やって家帰って一か月だけ会員になったアゲサゲでシコって20時まで寝て飯食いながらヤングサンデー三島由紀夫回を見た。

おっくんは、小説を読むとき処女作から順番に、そのときの日本の情勢も調べながら読んでいくと言っていた。その読み方は楽しいだろうなと、それだけ向き合えば詳しくもなるよなと感動する一方で嫉妬した。俺は普通に働かないといけない。芸術がプライドを守る鎧として機能していた中学生から塾講師までのモラトリアム期間はもう終わったらしいので