アパートの鍵貸します Shut up and deal.

こころを読み返してまたKさんを思い出す。先生の友人のKではなく、大学時代世話になったKさん。Kさんからいつか長い手紙が届かないだろうか。こころはホモを読み取れる場面が多いとはじめて知った。思えばKさんの薦める映画はホモ関連が多かった。渚のシンドバッドだけじゃなく、太陽がいっぱいもホモ映画だと淀川長治が言っていた。ネタにされたことをきっかけに薄々気付いてたけど特に嫌ではなかった。色んなホモ映画が現実の予防接種になってたのかもしれない。パンチドランクラブ、レザボアドッグス、サンセット大通りも薦められた。PTアンダーソン、タランティーノはそれがきっかけで好きになったけど、ビリーワイルダーはそこまで気に入らなかった。

久々のビリーワイルダーで、アパートの鍵貸しますを観た。非モテの、どうしようもなさ、あの状況でトランプをやるダサさが見てて辛かった。弱々しいやさしさの後の豪快な決断に心動かされるのは映画モテキのラストと似てる。どうせ女はヤムチャじゃなくベジータ選ぶんだろと不貞腐れる前に行動しろと言われてるようだ。

フラン・キューブリック役のシャリー・マクレーンの笑顔が可愛すぎるし、真顔は美しすぎる。素晴らしき哉、人生を観た後のせいか、古臭くなくてむしろ綺麗に見える。ていうか今の映画と比べても綺麗なのか。同じ時代のカラー映画よりも、十数年先のスターウォーズよりも、今の日本のクソCGよりも、アパートの鍵貸しますのほうが綺麗だ。モノクロがモノクロとして完成されてる。このくらいの古い映画観て女優の名前画像検索するとババアを超えてすでに死んでたりするかなビビる。さっきまで動いてた美人がスマホの中でお婆さんになってる衝撃。

恋愛経験高めじゃない女の子が非モテ男子に母性で反応しちゃうバッファロー66やNHKにようこそもモチロンいいんだけど、恋愛経験値で圧倒する美人が非モテ男子に上から対応するのもタマラン。あの頃ペニー・レインとケイトハドソンモテキ長澤まさみ、500日のサマーのズーイーデシャネル、アパートの鍵貸しますのシャリーマクレーン。

この映画、ラストシーンというよりラストカットが良い。告白をされても、ハイハイわかってますよ的に無視。そして命令。笑顔。完璧すぎる。俺の中の柔肌の熱き血潮の理想パターンに近い。下にセリフを書いてみたけど、こうしてみると字幕の情報量の少なさが際立つ。それでも2人の表情、手付き、目線と合わせてみると十分伝わってくる。

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"What did you do with the cards?" カードは?

"In there." "What about Mr.Sheldrake?" そこだ 部長は?

"I'm going to send him a fruitcake every year." "Cut." 毎年ケーキを送るわ カット

"I love you, Miss Kubelik." 愛してるよ

"Three. Queen." 3に… クイーン

"Did you hear what I said? I absolutely adore you." 聞こえたかい 君に夢中だよ

"Shut up and deal." 黙って配って

The End

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