定期テスト前日の

2けたの自然数Aとそれを入れかえた自然数Bで√(A+B)も√(A-B)も自然数になるときAはどんな2けたかってな平方根の応用問題をSタと蘇美に教えていた。

S菜にはワークの間違えた問題をメインでやるように言った。S菜はだるさをアピールするように「はーい」と伸ばしていった。こういう言い方をしたのははじめてだ。恐らく学校ではいつもだるそうに返事しているんだろう。振替で来た同じ中3のSタと蘇美を意識しているのが感じられた。勉強が苦手でプライドの高い子は学校ではだるそうにする傾向があるかもしれない。

帰り際、一度教室を出た蘇美が戻ってきて「先生回数多くなりましたよね?」「あーうん木曜と月曜と土曜にいるかな」「S佐先生は別のお仕事見つけたんですか?」「えー、そういうわけじゃないんだけど、ん~~~」「A木先生に連絡つかないんですよ!」「A木先生もねぇ~ん~~~」常に笑顔で聞いてくる。媚びた顔をしない。「君が卒業するころ、ここを去るときとかに教えるよ。」「私卒業しませんよ。」「あ、お、まあ色々想像してみてよ。例えばウンタラカンタラ」「はい、じゃあ卒業するときに!さよならー!」

蘇美がさよならー!といって駆けていくのをみてジブリがよぎった。元気で明るい女の子。非現実的な、美しいヒロイン。何年か経って偶然会ったときナウシカのごとき蘇美がユパ様~!と俺に駆け寄ってきてくれたら俺の人生は肯定される。

「私卒業しませんよ。」がボケなのかわかんなくて、嬉しさに一瞬満たされていやいやダメだそんなのと否定していやコレボケか?と考えて言葉に詰まった。そのあとの会話の最中蘇美の目が潤んでいた。最初から潤んでたっけ?話の途中からだっけ?わかんねえそれより美しすぎるとかそんなことを考えていた。それが昨日。今日は定期テスト